その使い方、規約違反かも?WordPressの有料テーマを使用する際のライセンスの考え方と注意点

WordPressでおしゃれなサイトを作ろうと思ったとき、有料テーマはとても便利な選択肢です。
手軽にプロのようなデザインが手に入り、操作も簡単。購入してすぐに使えることから、ブログや企業サイト、ポートフォリオまで幅広く利用されています。
ですが、
「1回買ったから、何サイトでも使えるよね?」
「クライアントの分も、自分が買って使ってあげればいいでしょ?」
そんなふうに思っていたら、気付かないうちにライセンス違反をしている可能性があります。
この記事では、WordPressの有料テーマを使う際に注意すべきライセンスの種類や制限事項、実際の利用シーンでありがちな誤解について、わかりやすく解説します。
目次
- WordPressの有料テーマとは?
- 一般的なライセンスの種類とその意味
- クライアントワークで使う場合の注意点
- 利用規約は必ずチェック!「細かい字だけど大事な話」
- 実例で確認するライセンス注意点
- まとめ:テーマの“使い方”次第でライセンスは変わる
WordPressの有料テーマとは?
WordPressの有料テーマは、テーマ販売サイトや個人・企業が開発・販売している「有料のデザインテンプレート」です。
無料テーマよりもデザイン性や機能性が高く、初心者でも本格的なサイトを作れるのが魅力です。
テーマの価格帯はだいたい5,000円〜20,000円前後。中には定期的なアップデートや、購入者限定のサポートがついているものもあり、「時間と労力を節約できる投資」として人気を集めています。
ただし、テーマは「買ったら何でも自由に使っていい」わけではありません。
実は、有料テーマにはそれぞれライセンスの規約が存在し、使用条件がしっかりと定められているのです。
一般的なライセンスの種類とその意味
WordPressテーマのライセンスには、主に以下のような種類があります。
GPLライセンス(WordPress本体と同じ)
WordPress自体が「GPL(GNU General Public License)」というライセンスのもとで提供されているため、テーマもこれに準じているケースが多いです。
GPLの特徴は、
- 誰でも自由に使ってよい
- 改変・再配布も可能(ただし同じライセンスで) という非常に開かれたもの。
ただし、すべてのファイルがGPLというわけではないケースもあります。
たとえば、テーマに含まれるPHPファイルはGPLだけど、CSSやJavaScript、画像などは制作者独自のライセンスで提供されている、というパターンです。
この場合、再配布や複数サイトでの利用には制限がある可能性があります。
クライアントワークで使う場合の注意点
ここで気をつけたいのが、クライアントのサイトを作るときに自分が購入したテーマを使っていいのか?という点です。
この答えは、「テーマによる」になります。
たとえば、自分が運営する複数サイトでの使用はOKでも、クライアントのサイトで使うには「クライアント自身がライセンスを購入する必要がある」というケースは非常に多いです。
また、最近では「購入代行」も禁止されているテーマもあり、制作会社がクライアントのためにテーマを代理購入して使うこと自体がNGという場合もあります。
利用規約は必ずチェック!「細かい字だけど大事な話」
テーマを購入すると、たいていの場合「ライセンスについて」や「利用規約」といったリンクやPDFファイルが添付されています。
ここには、以下のような情報が明記されています。
- 利用可能なサイト数(1サイト限定 or 複数可)
- 自分以外のサイトに使っていいか(第三者利用の可否)
- クライアントへの納品・カスタマイズはOKか
- 再配布の禁止、ライセンス違反時の対応
一見すると読み飛ばしそうになる部分ですが、この中に“重要な注意書き”が潜んでいることも少なくありません。
とくに「自分が使う場合」と「クライアントに使う場合」で規約が分かれているテーマも多いため、目的に応じてしっかり確認することが大切です。
利用規約ページはどこで探せばいい?
ほとんどの有料テーマには、以下の場所に利用規約ページやライセンス情報のリンクがあります。
- テーマ販売ページの下部(フッター)にある「利用規約」「ライセンスについて」などのリンク
- テーマ紹介ページ内の商品説明欄
- 決済前の確認画面や注文完了後に届くメール
- ダウンロードファイル内の「readme.txt」や「license.pdf」など
テーマによっては「FAQ」や「よくある質問」の中にライセンスについての説明が含まれていることもあります。購入前には必ずこれらの情報を探し、内容を確認しておきましょう。
規約のないライセンスは、購入を見送るのが安全
もし、どこを探してもライセンスや利用規約に関する記載が見つからない場合は、そのテーマの購入は慎重に検討した方がよいでしょう。
「書いていない=自由に使っていい」ではなく、「明記されていない=トラブル時に責任を取ってもらえない」というリスクがあるからです。
また、販売元に問い合わせても明確な回答が得られない場合は、サポート体制が不十分である可能性も高いため、ビジネス利用には向いていません。
特にクライアントワークや商用サイトで使う場合は、「後から問題になるかもしれないテーマ」は避けるという視点を持っておくと安心です。
このように、ライセンスや利用規約は「読むのが面倒」「どこにあるのかわかりにくい」ものですが、“買ってからでは遅い”内容が多く含まれていることを忘れずに。
購入前チェックを習慣にすることで、安心・安全なサイト運営につながります。
実例で確認するライセンス注意点
事例1:A社のライセンス
ある人気テーマ(仮にAテーマとします)では、以下のようなライセンスが定められています。
「PHPファイルはGPLですが、CSSや画像・アイコン類はAテーマ制作者独自のライセンスに属します。テーマの二次配布は禁止します。違反した場合、1日1万円の損害賠償請求を行います。」
また、クライアントワークに関しても以下のように明記されています。
「Aテーマ購入者が、第三者(クライアント)のサイトを制作することは禁止されています。クライアントがライセンスを購入していれば、制作代行は可能です。」
つまりこのテーマの場合、クライアントワークで使うには、クライアント自身がライセンスを所有している必要があるということになります。
注意したいのは、「代理購入してあげればOKでしょ?」と思いがちですが、それもNGという点です。
あくまでクライアントのアカウントで購入→そのテーマを使って制作という流れでなければライセンス違反となってしまいます。
このテーマでは、ライセンス違反が発覚した場合の損害賠償についても、具体的な金額(1日あたり1万円)まで明記されているため、知らずに使ってしまうと高額な請求につながる可能性もあります。
とくに、制作会社が複数のクライアントに対して同じテーマを使い回している場合は、違反が累積的にカウントされるおそれもあるため要注意です。
事例2:ライセンスが2種類に分かれているテーマ
別の有名なビジネステーマ(仮にBテーマとします)では、用途に応じて「通常ライセンス」と「特別ライセンス」が分かれています。
- 通常ライセンス:自己所有のサイトなら、何サイトでも利用可能
- 特別ライセンス(有償):第三者サイトへの提供、カスタマイズ、提案などの業務に使用する場合に必要
特別ライセンスの範囲はかなり広く、たとえばこんな行為も対象になります。
- クライアント向けにテーマをカスタマイズして納品
- 提案資料にテーマのスクリーンショットを使用
- 営業資料に「Bテーマ対応可能」と表記
- デモサイトにテーマを適用し、営業に使用する
この特別ライセンスには有効期限が設定されていました。期限が切れると制作や保守・更新もできなくなります。継続的に制作業務に使うなら、定期的なライセンス更新が必須です。
さらに、このテーマの利用規約には次のような記載もありました。
「特別ライセンスを取得していない状態で、テーマ名を営業資料やポートフォリオなどに記載することは禁止されています。
例:「〇〇テーマ全対応」「対応テーマ:〇〇、〇〇、〇〇」など。未取得テーマの名称を明示することはご遠慮ください。」
一見すると「通常ライセンスで十分」と思いがちですが、営業活動や見積書の中にテーマ名を出しただけでも、特別ライセンスが必要になるケースがあるという点に注意が必要です。
「使っていないからOK」ではなく、「商用活動に関連して言及した時点で対象になる」こともあるため、営業・制作チーム内でもルールを共有しておくことが大切です。
まとめ:テーマの“使い方”次第でライセンスは変わる
WordPressの有料テーマはとても便利で魅力的なツールですが、使い方を間違えると“うっかりライセンス違反”になってしまうこともあります。
とくに、以下の点はしっかり意識しておきましょう。
- ライセンスの範囲はテーマごとに違う(何サイトまでOKか/誰が使っていいのか)
- クライアントワークでは、ライセンスの所有者が“誰か”が大事
- 利用規約は面倒でも必ず目を通す(規約違反時のペナルティも書かれていることが多い)
「まあ大丈夫だろう」で進めてしまうと、あとで思わぬトラブルになるリスクもあります。もしテーマの利用に不安があるときは、公式サイトのお問い合わせ窓口に確認するのがベストです。
オウンドメディアやクライアントサイトを安心して運営するためにも、ライセンス=“使用ルール”をしっかり理解した上で活用することが大切です。